タ~ボウは首を後ろにかくんと曲げて一生懸命見ていた。
お母さんのこぐ自転車の後ろの小さい座席に座って
ずっとずっと上を見ていた。
真っ黒の空にぽっかり浮かんだ青くて白い大きなお月様を。
「ママ!ずっとついてくるよ!
お月様がついてくる!」
タ~ボウはちょっと怯えたように叫んだ。
お母さんは自転車を止めて
タ~ボウみたいに首を後ろにかくんと曲げてみた。
頭の上に大きくてまあるいお月様。
確かにどこまで行っても
お月様はずっと頭の上にあるし
ずっとついてくるみたい。
「お月様はタ~ボウが大好きなんだって。
タ~ボウのお家に一緒に帰りたいって。」
「えーっ
いやだーっ」
お母さんはにっこり笑ってまた自転車をこぎだした。
お母さんの背中に一生懸命しがみついて
タ~ボウもまた首をかくんと後ろに曲げた。
月は照らしてくれてる。
月は知ってる。
愛のありかを。
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数年前に書いたもののリメイク。